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2019年7月15日 (月)

磁器絵付けのジレンマ

P1160920 こんにちは。原宿陶画舎講座グループの江川です。
私、期せずしてこの仕事に就いたのですが、
(マイポーセリン前号vol.71のコラムにそのことを書かせていただきました)、
食器は元々好きではありますが、家にある食器の多分9割以上は陶器で、実は白い磁器はあまり得意ではありません。

土の持っている温かみとか、経年で色が変化していく感じとか、
熱いものを入れた時に、陶器の方が少し和らいだ感じになったりするのが好きな所です。
いわゆる民藝ものなどが好きで、よく使うのは島根の湯町窯や、大分の小鹿田焼、
あとは沖縄の壺谷焼の器も大好きで、家で使う器のほとんどはこういった窯元のものばかりです。

しかし、芸術的な価値観はさておき、一般的にはこういった器類はどちらかと言うと、いわゆる生活に即したもの、になるでしょう。
それに比べて白磁の方は、その白さや透明感が、清潔感・高貴さをイメージさせ、ハレとケで言えばハレに当たるものだと思います。

磁器のいい所と言いますと、陶器にはある吸水性が磁器にはないので、汚れを吸収することがありません。洗えば本来のきれいな状態に戻ります。
また、同じ吸水性で言えば、陶器は吸水した状態で棚にしまってしまうとカビの原因になったりしますが、磁器においてはそういう心配は少ないです。
以上のような観点から、ハレの器ではありつつも、日常使いにもケアがしやすく便利な所があるのが磁器の良さです。

そして絵付けです(ここでは基本的に上絵付けの話になります)。
陶器にも白い器があり、それに絵付けをすることも可能ですが、
やはりモノによって陶器が水分を含んでしまったりしている場合がありますので、
そうしますと焼いた時、器が割れてしまったり、仕上がった器の表面にシミのような黒い斑点が出てきたり、色々トラブルの起きる可能性があります。
磁器ではそういったトラブルは少ないです。そこはやはり吸水性の問題です。
つまり、上絵付けをするとなれば、焼成トラブルが起きにくいということと、
「キャンバス」としての白さを併せ持つ磁器が、やはり使いやすい素材であると言えます。

正直な所、個人的には使う器としての磁器には、好みをあまり感じていないのですが、
しかし、やはり絵を描く器となるとこれに勝るものはないでしょう。

そういうジレンマの中で、実は日々作品と向き合っているのですが、
しかしとにかく私の中では、器は使うものである、というのは、基本的には譲れない所なのです。
だから、自分としては多分使わないけれども、磁器が好きな方であれば喜んで使っていただける器の絵付け、という所を常に目指しています。

白磁の良さを生かすための色使い、白さをより引き出すための色の選択などに特に気を使っています。
なので、どちらかというと、黒や赤、青など、メリハリのある色を主に使う選択が多くなってしまいます。
白の対極は黒ですから、黒が入れば白が引き立ちます。それに近い効果が、しっかりした色使いにはあるということです。
また、食器ということでいえば、やはりイングレーズは使いやすい技法です。
絵具が釉薬の内側に入ってしまうので、長く使っていても絵具が落ちることはありませんし、安全面を優先する方にとってもいい選択です。
また、青がきれいなので、白も生きますし、食材を邪魔することも少ないでしょう。

そんなことを諸々考えながら制作をしているのですが、
まあ全然違う方向に行ってしまうこともありますし・・・
ああでもないこうでもないと悩みながら、正解を求めて、日々描いたり消したりを繰り返しております。
今は秋からの自分の担当専科、線画クラブの作品がなかなか出来ずモンモンとした毎日です。
少しでも喜んでもらえるように、がんばります。
(写真はモンモンの一端です)

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