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2018年7月30日 (月)

紙の上のように描く

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こんにちは。講座グループの江川です。
私事ですが、来月末に引っ越しを予定しています。
引っ越しをするのはもう20年以上ぶりなので、
今は休みのたびに、かさばった荷物の処分に追われています。
正直、この暑さの中で行うのはなかなかしんどい作業です・・

そんな中、先日も荷物を整理していると、40年前の絵日記が出てきました。
小学2年の時のもので、夏休みに母の友人の家に遊びに行った時、
途中の京浜急行の駅から見えたスイカ畑を描いたものです。

我ながら、なかなかいい絵だと思います。
と言いますか、いま描いている絵よりもずっといいですねえ・・。
やはり邪心がないというのが、もう今の自分には描けない絵ですね。
(たまに子供心にも、きれいに描きたいとか、先生によく見られたいとか、
そういう邪心のあるものもありましたが・・今自分で見てもわかるんですね)

陶磁器にも、絵日記に描くような気持ちで絵付けできるといいのですが、
絵付けをしていて、私も始めた頃、最初に感じたストレスは、
やはり紙の上のようには描けない、ということです。
紙だと染み込むイメージがあるので、その感覚で、描きやすいようにとゆるい絵具にしてしまうと、
ダラダラ垂れてしまったり、ゆるい分絵具が薄いので、結果ザラザラの焼き上がりになってしまったり。
また表面がツルツルしているので、思ったようになかなか濃く絵具がのってくれません。

そういったことを解消するために、絵付けでは様々な道具や技法が開発されている訳ですが、
わたし的に最近おもしろいと思っている素材が「ペイント転写紙」というツールです。

どういうものかと言いますと、
まず、その白い無地転写紙の上に、速乾性の溶剤で練った上絵付用の絵具で絵を描きます。鉛筆で下書きもできます。
そしてしっかり乾かし(1日置けば間違いないです)、
その後絵の部分を切り、いつもの転写紙と同様、水に浮かべ、
浮いてきた転写部分を器の上に滑らせるように貼り付けます。
そして水と空気を抜き、800℃程度で焼成します。

どうせ絵付用の絵具を練って描くんだったらそのまま器に描けばいいんじゃない?ときっと思われるでしょう。
しかしこれを使う利点は、
先ほど申し上げましたように、器の上ではなく「紙」なので、
滑らず、ある程度の染み込みを生かして描ける、ということです。
ふつうの紙に描くのと近いイメージで絵が描けます。
はりきって器に描いて、想像したのと同じように描けなかった時のガッカリ感がありません。

それに器は面が立っていたり曲面が多いので、直接器に描くときは手の置き場に困ることが多く、慣れが必要ですが、
ここに描く場合は当たり前ですが平らな状態ですので、描きやすいです。
また、たとえば小花のようにパーツごとの絵でしたら、切った後に、
どこに配置しようか、とあれこれレイアウトを好きな形で行うことができます。

難点は、
乾かすのに少し時間がかかるということと、
紙の上に水彩で描くのと同じように、一度描いたら消しにくいということ、
また、器の上に描くような「ワイプアウト=絵具を塗った上から削る」という作業はできない、といったことでしょうか。

ただそれでも、器に描くのに慣れていない方が絵付けをしたい、という場合には、とても有効な手段だと思います。

この転写紙と専用のクレヨンのセットもありますので、それも便利ですが、
色数がある程度限られてしまいますので、いろいろな色を使いたい、となるとこの手法であれば幅広い絵が描けます。
この夏場に特別講座も行いますので、ご興味があればぜひご参加ください。

マグカップのような器で、まっすぐ立っているものでしたら、
ペイント転写紙を、マグをくるっと一周した大きさにカットして、
そのパノラマのような紙に好きな絵を描けば、
マグカップを一周するようなスイカ畑も描けたりします。

私も初心に帰って、7歳の自分の絵を真似してスイカ畑を描いてみようかな、と一瞬思いましたが、
でもきっと作為的な絵になってしまうでしょうから、描くとしたら、あきらめて今自分が描ける絵を描くことにします。

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